心地よい春爛漫の春の風に、春眠暁を覚えずウトウトと。
29日の日曜日は家の用事でゴソゴソと作業していましたが、14時前に作業が終わり何気にひなたぼっこしてたら、いつの間にか居眠りするほど天気が良かったので、久しぶりに車庫から愛車Z2を引っ張り出しましてみました。
Kawasaki Z750RS
うちにはアフリカツインからカブ号まで数台のバイクがあります。
その中でも一番長い付き合いなのがこのkawasaki Z750RS、通称Z2(ゼッツー)です。
去年車検が切れたんですが、僕は冬はバイクに極力乗らない軟弱モノなので、あえて車検は取らずそのままにしていました。
このZ2、見た目は一見ハデそうにも見えるんですが、さほど大したカスタムはしていません。
最低限のセオリー通りのカスタム内容でフレーム補強や足回り、エンジン・吸排気系・電装系の強化と一通りは手が入っていますが、うわ!そりゃすげぇ!みたいな自慢できそうなものはありません。
各パーツもカワサキ他車の純正流用が大半です。
エンジンはZ1のシリンダーを使ってモリワキのピストンキット、KZ1000のクランク、FCRキャブと最低限の定番コースですが、多少なりともエンジン、車体ともにパワーアップしたおかげでツーリングもずいぶん楽になりました。
ツーリングがメインなのでカスタムの方向は高性能というわけではなく、耐久性と安全性、乗りやすさ重視。
そのおかげかカスタムして10年以上経ってもいまだエンジンは問題ありません。
燃料タンクは元からついていたプレスタンクを外して、塗装がきれいだった予備の後期型タンクを付けています。
ずいぶんと長いこと乗っていて、故障がきたり具合が良くないところが出てくるたびにカスタムしていたらいつの間にかこんなスタイルになっていました。
我ながらかちょっとかっちょえなぁ!とちょっぴり思っていますが、これはどのZオーナーも同じでしょう(^^)
このZ2は長く乗ってるだけにいろんな思い出があります。
小雨降る深夜の東名高速で突然ヘッドライトが切れてしまい、真っ暗なまま大型トラック後ろに張り付いて、ヒヤヒヤしながら1時間かけてSAへたどり着いたことや、九州から当時住んでいた東京まで帰る際、急に充電しなくなってしまったので苦肉の策として予備バッテリーを積み、途中知り合いの家やバイク屋さんで充電させてもらいながら東京に到着。
東京の馴染みのバイク・ショップで調べてもらったら、ジェネレーターがバラバラになっていてたぜ、よくこれで九州から走ってこれたなーアホだなー、と呆れられました。
また鹿児島へツーリングに行った時には、当時無理やり付けていた別のバイクの流用キャブレターがポロリと外れて、どうにもこうにも付けることができず、しょうがないので針金でエンジンにぐるぐる巻きに括り付けた状態で1日走ってうちまで帰った事もあります。
高速道路で120キロくらいで走行中、いきなりフロントタイヤがぶれ出して左右にカンカンカン!と音を立てて激しくフルロック!うわっ!マジ死ぬ!という恐怖体験とか、雨の中国道でコーナリング中にハイドロプレーニング現象が起きて、タイヤが宙に浮いて接地感ゼロでZ2がナナメに傾いたままスーーーーーっと横に流れて、もう少しで壁に激突!うぎゃぎゃぎゃ~~!!おかあちゃ~ん!とかもうトラブルは数しれず。
そんなたくさんの珍トラブルにも関わらず、これまでのところ運よく大事故には合う事もなく今もZ2は元気にブイブイ走ってます。
いろいろ手をいれたおかげで、今では大きなメカ的トラブルはほとんど無くなりましたが、なんたってビンテージ、まだまだ何が起きてもおかしくはありません。
でもそれが楽しい(^^)
ふと気づけば、人生の半分以上を共に過ごしたZ2
このZ2、買った時はまだ人気が無くて、その時勤めていた職場の知り合いから、買ってくれよ~な~頼むよ~な~、とムリヤリ頼まれて半ば強引に買わされたようなものでした。
それまで僕が乗っていたのはGPZ750Rだったんですが、弟が自動二輪の大型免許取ったのでそのお祝いに、と勢いで譲ってしまったためこの時はたまたま何も乗っていませんでした。
ブラックバージョンのGPZ750R。それまでカワサキ車には全く興味なかったのに一目ぼれでした。
大型自動二輪免許に合格して、はじめてのオーバー400cc。
実をいうとほんとはGPZ900Rが欲しかったんですが、当時はオーバー750ccはまだ国内販売が解禁されておらず、高価な逆輸入車だけで高嶺の花だったのです。
今でこそ100万オーバーのバイクは当たり前ですが、当時は100万円を超える高額なバイクは僕の財力と常識では考えられないものでした。
そんなGPZ750Rとの付き合いは1年間ほどと短いものでしたが、雪が積もる真冬以外は休みのたびにわくわくしながらツーリングに出かけ走り回っていました。
Z2との出会いは当時勤めていた会社の同僚の友人が、
「頼む!お願い!わいの友達のRS買ってやってくれ!」
(当時は兵庫県で働いていたんですが、関西の愛称は「Z2」ではなく「RS」と呼ばれていました)
と頼んできたことでした。
値段を聞いたら確か25~6万円くらいだったともいます。
でもその当時はZ2は人気も無く、カウルが無い古臭くて暴走族が好きそうなバイク、と言ったあまりいい印象ではありませんでした。
なのでさほど興味がわかなかったため、25万なんてわー高い!高すぎるっ!ていうかそんな古臭いのはいらないなあ、という感覚でした。
「高いなぁ、こんな古いバイク、そんな値段でよう買わんわー」
と渋っていたら、結局16~17万円くらいでお願い!結婚するのでどうしてもお金がいるんだぁ!と言われ渋々買うことになったのでした。
僕がZ2を買った、と知った他の友人たちからは、
「なんでこんな古い臭いの買ったん?前のGPZの方が良かったのに。」
なんて言われて、まぁそりゃそうだよなぁと正直思いましたが、イザ乗ってみたらこれが思ったよりとっても面白い!!
もちろん性能はどこを取ってもGPZの比ではないんですが、GPZはその頃主流だったフロント小径ホイールでフロント16インチ×リア18に対して、Z2は従来のフロント19インチ×リア18インチ。
ぐぉぉおん!ヒュルヒュルヒュル~というエンジン音に、4本出しマフラーからはグォッ~!バォォォォオ~~~ン!と集合管っぽい音。(実は消音材がほとんど飛んでた)
ぐわっ!とアクセル開けるとずごごご~!と加速、体感速度は200キロ!でもメーター見たら100キロも出てないぞ!オイ!みたいな荒々しい乗り心地。
そんな感覚的な面白さと、GPZ以前に乗っていたバイクがXLとかTLとかオフロードバイクがメインだった僕には、オフ車みたいに後輪で曲がるような感覚がなんかしっくりきたんですよね。
それにZ2でツーリングにでかけると、
「昔さー、俺も乗ってたんだよね~!」
なんて親しく声をかけてくれる人がけっこういて、それまでどちらかと言うと孤独だったツーリングが出会いのあるとても楽しいものに変わった、というのも気に入った原因です。
また古いバイクが好きな人はほんとツウなマニアが多く、話をするとその造旨の深さと面白さになんだかわくわくするような気分になったものでした。
そして何より走っている最中も、あの部品どうかなー?あそこ壊れないかな?と何かと気にかけいろいろと気遣いながら走っていたので、いつの間にかZ2にひとつの人格があるような気分になり旅の良き相棒、みたいな感覚に繋がっていったようにも思います。
Z2を購入してしばらくすると、楠木みちはるさんの漫画「あいつとララバイ」でゼッツー人気に火が付き、空前のZ系バイクブームがやってきて、さあ大変。
「あいつとララバイ」では主人公の研二君が操るZ2は、どんなバイクよりも速く、離陸するジェット機でさえ飛び越えてしまうスーパーマシン!
すごく熱く情熱的なすっごいワクワクする漫画で当時バイク乗りには大人気でした。
そのおかげで、たまたたツーリングで峠を走っていたら、最新式のGSXに追い掛け回されたり、第三京浜を走るとバトルを仕掛けられたりと、どノーマルZ2とヘタレライダーの僕は涙目。
後ろからばおんばおんと凄い勢いでやってきたボーソー族らしき集団が、僕のZ2を見るととたんにおとなしくなって追い越さず、ずらりと後ろに並んでずーっと付いてきて、傍目から見たらまるで僕がボーソー族のヘッドのような状態になってしまいやっぱり涙目などと、面白い経験をさせてくれるZ2との付き合いはキビシクもあり、めちゃめちゃ楽しい時でありました。
そして○十年、北は関東から西は奄美大島までこのZ2でずいぶんと走り回りました。
付き合っていた彼女もバイク好きでとっても気が合い、一緒にいろんなところへツーリングにでかけました。
そして気づけば、彼女のZZR600も長い付き合いになっています。
ずいぶんと長い時を一緒に過ごした相棒Z2、そして彼女との旅は、思い返せば長いようであっという間でもありました。
たぶんそれは僕が死ぬまで、ずっと一番大切な思い出として光り輝いていると思います。
そんな思いがけなく長い付き合いになったZ2ですが、たぶんこれからもずっと乗り続けることになるんだろうなぁと思いつつ、いまだご縁の無い東北・北海道そして沖縄を旅する機会をヒソカに探索中でもあります。
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